★★★★★
ついに観た。
公開から約2週間。 私的事情により全く映画館に足を運べなかったのだが、 池袋シネリーブルの最終が21:10なことに気づき、 昨夜、仕事帰りに無理を通してやっと鑑賞して来た。
スバラシ過ぎる。 150点である。
一応、お断りしておく。
自分の評価は、 こと、富野監督作品、しかもそれが Zガンダムとあってはかなりの勢いで盲目的である。 一般的な評価とは無縁であるとお考え頂きたい。
「あの、Zガンダムが劇場3部作品化される」
もうね、この時点で100点をあげる覚悟なのだ。 なにがどうなっていようと、 全てを受け止めるキモチで挑んでいる訳である。
ところが、 そんな心配とは裏腹に 富野御大は今回、本当に素晴らしい仕事をしている。
ここまでの仕上がりで 夢にまで見た作品が実現し、 それをリアルタイムで体験出きる。 もう、極上の至福なのである。
てなワケで、 以下、本来公開すべきでもない 独り言の駄文である。
…と、いいつつも、 「ZGⅠ」に比べたら大分冷静に観れたと思う。
3部作の2作目に当たる、ZGⅡ-恋人たちー。 この物語の中間地点に対し、 富野監督はかなり思い切った処理を施し、 成功させている。
まず、少しややこしい話。
Zガンダムで勃発する戦争は、 アニメはもちろん、 フツウ映画でも考えられない程 複雑な政治的背景を持つ対立構造が描かれる。
腐敗した地球連邦政府内で暴走するティターンズ。 それを阻止せんとする民事軍エウーゴ。 そして、以前の戦争の残存兵力ネオジオン。 この、三つ巴の構造。
Ⅰで、すでにティターンズとエウーゴが戦争状態に突入している。 Ⅱのラストでそこにネオジオンが割って入り、 Ⅲでは3者入り乱れての決着戦が描かれるというわけだ。
Ⅰで事が起こり、Ⅲで決着がつく。 つまり、Ⅱはプロセスである。
今作は、 戦争の進行の視点から見ると、 三つ巴の戦争に至る、 上層部の政治的な駆け引きの部分。
そうなると、 主人公達の活躍の場である「現場」には、 特に戦局に影響を及ぼすような戦闘はおこらない。 その為、TV版ではぐちゃぐちゃになっていた。
以上のわかりづらい構造を、 この劇場版ZGⅡで、 監督は「わかりやすく描く」ことを思い切っている。
具体的には、 「上層部」と「現場」をほぼ完全に切り離し、 「現場だけ」を描くことに注力しているのだ。
政治家達がややこしい話をしている最中、 現場では、 主人公達が男女の出会いをしていく。
恋愛をはぐくみ、愛憎を生み、 複雑な人間模様を描く。
つまり、-恋人たちーというワケだ。
お見事!である。
全く新しいZガンダムが見えてきている。
悲惨な戦中の狭間に、 主人公達は恋愛という最も人間的な営みを得る。 カミーユとフォウ、 アムロとベルトーチカ、 カツとサラ、 ブライトとミライ、 ジェリドとマウアー、 ヘンケン艦長とエマ、 そして、クワトロとレコア。
それぞれのひと時の幸せを描き、 そして、彼等を現実に引き戻す為であるかのように ラストで白いガザC(!)を駆り、 ついに登場するハマーン・カーン。
かっこよすぎて鼻血が出そうであった。
新たなるZ3部作に銘打たれた、 新訳という言葉の意味が最も際立つのが この、-恋人たちーではないかと思う。
そしてもう1点、 この「ZGⅡ」で最も刮目すべき点。
それは、 富野監督が、
ついに再び「ニュータイプ」を描こうとしていることである。
思えば、 数あるガンダムの亜流作品。 その全てで暗黙的に「タブー」であったのは、 「ニュータイプを描てはいけない」ことであった。
しかし、 当の富野監督は、 幾度かガンダムを描きながらも、 「ニュータイプ」を描くことを避けていた。
その理由は、 唯一、ファースト以外で「ニュータイプ」を描こうとした、 TV版Zガンダムで、 ラストで主人公を発狂させてしまったことが、 富野監督自身の「挫折」であったからである。
おそらく、 富野監督の「Z嫌い」は、 自分がニュータイプを描けず、暗い未来を 提示することしか出来なかったから。
富野監督にとってTV版Zガンダムとは、 作家としての限界を露呈させられた作品だったのだ。
その、「汚点」に、 もう一度正面から対峙しようとしている。
「ZGⅡ」では、 アーガマのクルーがカミーユを「ニュータイプ」と呼び、 サラ、エマ、レコア達が「予兆」を感じる。
富野監督は、 「ニュータイプ」を描くことで、 死ぬ前にもう一度「未来への希望」を提示し、 「最大の汚点を払拭」することこそが、 この劇場版3部作に取り組んだ本意だと思う。
なので、この3部作の結末では、 TV版のような「絶望」は決して描かれないであろう。
富野監督が描く「ニュータイプ」。
それこそが、 自分らが一番観たかった「ガンダム」ではないか。
いやもう素晴らしい。 泣きそうである。
もうね、 恩田尚之のキャラ作画がレベルアップしたことで、 新作画とオリジナル画のギャップが ありすぎるなどという点は不問である。
あまり話題にならないが、 Ⅰでも素晴らしかった、仲盛文メカ作監の モビルスーツ作画は史上最高であると思う。
サラの池脇千津はひどかったけど、 フォウは思ってたよりもしっくり来た。
その他の細かい点は、 実際にご覧になって確認して頂きたい。
あと何週間上映しているのだろうか。 もう1回観に行きたいところだが、 希望は薄い。
そして、 最後を飾る、 「機動戦士ZガンダムⅢー星の鼓動は愛ー」。
公開は、2006年3月4日である。
監督曰く、「通俗的なハッピーエンド」にしたという、 「誰も見たことのないラスト」とは、 …一体どうなっているのだろうか。
なにが起こっても、 受け止める覚悟である。
長文失礼しました。
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